セミは数学好き?

2021年5月29日

今年は昆虫学者にとって特別な年です。なぜかって? それは「17年ゼミ」の一番大きな群れが発生する年だから!

 北アメリカには「周期ゼミ」や「素数ゼミ」と呼ばれる、毎世代ほぼ正確に17年または13年で成虫になり大量発生するセミがいます。それぞれ17年ゼミ、13年ゼミと呼ばれていて、ほぼ毎年どこかで発生してはいますが、同じ地方では周期ごとにしか発生しません。そして今年は一番大きな群れが17年ぶりに大発生するというわけ。その数なんと数十億匹! セミ嫌いからすると悪夢そのものですが、彼らはなぜ「17年」や「13年」という周期で大発生するのでしょうか。

 答えは、生き残るため。

まず17や13といった素数年での発生は、同じように周期発生する捕食者や寄生虫と出会いにくくするためだといわれています。例えば、もしセミの発生周期が12年だったら、2年周期や3年周期で発生する寄生虫とは常に同時発生する羽目になってしまいます。しかし13年であれば、2年周期の寄生虫とは26年ごと、3年周期の寄生虫とは39年ごとにしか出会わないのです。また一度に大量発生することで、捕食者に食べつくされないようにしていると考えられています。

 セミが素数を利用しているなんて、面白いですね。